電王戦の歴史を振り返ってみる

2016年は将棋界にとって激動の年となりましたね。

その発端となったCOM将棋に関してフォーカスを当て、将棋電王戦の歴史について振り返ってみたいと思います。

電王戦の歴史

電王戦の歴史を簡単に説明していきたいと思います。

今まで行われた大きな大会は以下の4つです。

  • 2012年 第1回将棋電王戦 米長邦雄永世棋聖 vs ボンクラーズ
  • 2013年 第2回将棋電王戦 棋士5人 vs コンピュータ5台
  • 2014年 第3回将棋電王戦 棋士5人 vs コンピュータ5台
  • 2015年 将棋電王戦FINAL 棋士5人 vs コンピュータ5台
  • 2016年 第1期電王戦 優勝棋士 vs 1位のコンピュータ
  • 2017年 第2期電王戦 優勝棋士 vs 1位のコンピュータ

この他にも毎年大晦日には電王戦に関するイベントも行われています。

船江さんの電王戦リベンジマッチや、森下ルールでの対局などがそれに相当します。

2012年 第1回将棋電王戦 米長邦雄永世棋聖 vs ボンクラーズ

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引退棋士の米長さん vs ボンクラーズ の試合。

ニコニコ生放送で放映されて人気となったことから後のシリーズにつながる重要な対局となりました。

結果はボンクラーズの勝利。

米長さんは準備段階で既に正攻法では全然勝てないレベルになっていました。

米長さん宅に招いた現役棋士も負け越すほどで、当時で既にCOM将棋はプロと同レベルになっていた可能性があるとわたしは思います。

当時のCOM将棋はプロの棋譜を参考に膨大な数の序盤定石を搭載していました。

正攻法で勝つことは難しいと考え、序盤の定石を無効化させる6二玉という手を採用して序盤を優勢にすすめる作戦を採用。

上手くハマって優勢となったが、中盤のミスから逆転。

そのまま押し切られる形となりました。

当時のCOMにはまだまだ弱点が多数存在し、序盤で穴を突いて差を付けたまま勝つなど、勝つ手段だけにこだわればまだまだ棋士側が有利だった時代だと思います。

2013年 第2回将棋電王戦 棋士5人 vs コンピュータ5台

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現役プロ棋士5名と世界コンピュータ選手権上位5名の対局となりました。

当時はプロ側も世間側もプロが負けるとは思っておらず、マシンパワーなどにも制限はありませんでした。

その余裕のためもあったんでしょう。

クラスタなど何台もコンピュータを繋いで計算させる方法なども、どうぞどうぞといった形でルールで制限されることもありませんでした。

組み合わせ

  • ○阿部光瑠 四段 vs ×習甦
  • ×佐藤慎一 四段 vs ○Ponanza
  • ×船江恒平 五段 vs ○ツツカナ
  • △塚田泰明 九段 vs △Puella α
  • ×三浦弘行 八段 vs ○GPS将棋

結果は棋士側から見て1勝3敗1分。

当時は開発者の意向ごとにソフトの貸し出しがある場合と無い場合がありました。

初戦の阿部さんなどは貸し出されたソフトを事前にかなり研究して穴を突くなどの作戦を取ることができました。

逆に塚田さんや三浦さんはソフトの貸し出しはあったものの、肝となるクラスタ処理がされている分けではないので探索深さが全く違い、本番と比べると弱い状態のソフトとなっていました。

ponanzaなどは貸し出し自体がされていませんでした。

当時は実力で棋士が勝てるという見込みが強かったのもあり、穴を突くというよりは正面からぶつかって力同士のぶつかり合いが見れて非常に楽しかったです。

勝っても負けても、まだまだプロ棋士と実力が拮抗していたかもしれません。

個人的には、上位のソフトをクラスタ処理した状態では既にトップ棋士の強さを凌駕し始めた段階なのかなと思っています。

2014年 第3回将棋電王戦 棋士5人 vs コンピュータ5台

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今回も同じように現役プロ棋士5名と世界コンピュータ選手権上位5名の対局となりました。

プロ側もいよいよまずいと思ったのか、若手の実力者を多数投入してきました。

さらに事前貸し出しが必須など、プロ側に有利となるルールがどんどん追加されました。

ハメ手などを事前に研究することが可能になったわけです。

この時期にはもう平手で準備なしで試合したらプロ側はもう勝てない段階になっていたのではないかなぁと思いますね。

組み合わせ

  • ×菅井竜也 五段 vs ○習甦
  • ×佐藤紳哉 六段 vs ○やねうら王
  • ○豊島将之 五段 vs ×YSS
  • ×森下卓 九段 vs ○ツツカナ
  • ×屋敷伸之 九段 vs ○GPS将棋

結果は棋士側から見て1勝4敗。

人間側にこれだけ有利なルールを採用してもほとんど勝てませんでした。

この段階で序盤で優勢になって中盤までに優勢になるような手順を事前研究で発見しておかないと勝てないレベルの棋力差になっていたように思います。

棋士側がそれを分かっていないというか、そういった手段を用いて勝とうとしていなかったことが敗因のように思います。

唯一まともに事前研究をしていた豊島さんのみが勝つことができました。


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2015年 将棋電王戦FINAL 棋士5人 vs コンピュータ5台

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COM側は電王戦専用の電王トーナメントというものを実施して上位5名を決めています。

今回の棋士側はなりふりかまわずCOMの穴やハメ手を模索するという手段に出ましたw

事前貸し出しを最大限利用する形で、前年度の棋士も本来ならこうするべきでしたね。

力 vs 力の試合が見たい人にとってはとんだ茶番ですが・・・。

組み合わせ

  • ○斎藤慎太郎 五段 vs ×Apery
  • ○永瀬拓矢 六段 vs ×Selene
  • ×稲葉陽 五段 vs ○やねうら王
  • ×村山慈明 七段 vs ○ponanza
  • ○阿久津主税 八段 vs ×AWAKE

結果は棋士側から見て3勝2敗。

おそらく事前研究無しでは棋士側の全敗だったでしょう。

それでも斎藤さんや永瀬さんは何とか自力で勝ちきったようにも見えました。

特に永瀬さんなんかは研究手順から外れてもなんとか勝ちきったようですし・・・。

Aperyは人間対策で最善手を指さない設定にしていたせいで少し弱くなっていたとかなんとか。

ponanzaに関しては全力でハメにいったのにそれでも勝てず。

AWAKE戦なんかは事前に判明してたハメ手順でハメてそのまま終わりというあっけない幕切れでした。

この時期になるとCOMはクラスター処理せず単独でも十分強く、ノートPCレベルでも棋士ではもう勝てないレベルに達していました。

2016年 第1期電王戦 優勝棋士 vs 1位のコンピュータ

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叡王戦という棋士側の代表を決めるトーナメントで優勝した棋士と、電王トーナメントというCOM側の代表を決めるトーナメントで優勝したCOMが戦う試合でした。

試合は2日制の2試合です。

組み合わせ

  • 山崎隆之 五段 vs ponanza

結果は棋士側から見て0勝2敗。

当時のponanzaはトーナメントでも圧倒的強さを見せていました。

電王トーナメントを見ている視聴者は分かっていたと思いますし、素人目のわたしから見てもCOM側の強さは最早異次元でした。

いかに序盤の研究でハメるかがもはや見所と思っていたんですけど、山崎さんはそういったタイプの棋士では無いですからね・・・。

千田さんみたいな棋士が代表だったらワンチャンあったかもしれませんが。

これを見てまた来年の電王トーナメントの異次元の戦いが見たいなぁなんて思ってしまいました。

2017年 第2期電王戦 優勝棋士 vs 1位のコンピュータ

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叡王戦という棋士側の代表を決めるトーナメントで優勝した棋士と、電王トーナメントというCOM側の代表を決めるトーナメントで優勝したCOMが戦う試合です。

試合は2試合で、時間は1日制に変更されています。

組み合わせ自体は決まっていて対局はこれからとなります!

楽しみですねー。

組み合わせ

  • 佐藤天彦 名人 vs ponanza

佐藤名人は最近の好調な羽生さんにも一歩上を行くような感じで勝ち越してる非常に絶好調な棋士です。

たしかに棋士の中では今最も強い棋士だと思いますし、その強さを証明するかのようにトーナメントでも圧倒的な力で優勝を果たしました。

ただそれ以上に異次元の強さで優勝したponanza。

いくら佐藤名人が強いとはいえ、全く歯が立たないと思います。

おそらく目立った悪手も無いまま中盤で少し付いた差をどんどん広げられ、ノーチャンスで負けるだろうと思います。

そうなるのを自覚していかに序盤のハメ技を研究してくるかが今回の争点です。

力 vs 力 の良い試合が見たい気持ちもありますけど、もはや力の差が付きすぎてそういった勝負にならないことは明白です。

どんな研究をしてどんな試合になるのか今から非常に楽しみです!

千田先生などが協力して、序盤を突き詰めて研究もして・・・。

色々な対策をした名人がどんな風に指すのか非常に興味深いですね。

以上、電王戦の歴史を振り返ってみるに関する記事でした!

ご感想、ご意見などございましたら、コメント欄に書いていただけるとうれしいです!

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